2030年、2040年、2050年……。ちまたには、AIやDX、大容量通信ネットワークなどテクノロジーを軸に未来の社会や暮らしを展望する書物が溢れています。テクノロジーによる進化がこれまで以上に加速すると言われる現代社会において、こうした書に多くの人の関心が向かうのは、想像しにくい未来に対する期待と不安の裏返しと言ってもいいでしょう。

 本書が取り上げるのは、そんな衝撃的な未来シナリオではありません。予想の射程はせいぜい2年から3年後。いまという時代の延長で数年後にやってくるライフスタイルの変化について、クリエイションの最先端にいる人たちがどんな未来を想像しているのか? そんな、少し先の暮らしとそこで求められるデザインの「兆し」について語ります。

 都市と建築、ワークスタイルとライフスタイル、テクノロジーとケア、遊びと人間、感覚と自然。5つのテーマで語られる内容には、「気配のデザイン」「パブリックとプライベートの逆転」「エモテック」「焚き火」「あたらしいラグジュアリー」など、ユニークなキーワードが並びます。共通するのは、人同士の触れ合いや自然への畏怖、五感に響くコミュニケーションなど、心の豊かさや他者とのつながりを感じられるデザインがいっそう求められていく、というメッセージです。

 これまでの価値観や社会生活が大きく変わろうとしているただなか。次のデザインの「兆し」を求めて語り合った5組のクリエイターのことばを通じて、ほのかに浮かぶ未来のデザインの輪郭をぜひとも感じ取ってください。


AXIS編集部

編集/AXIS編集部 写真/高橋マナミ 原稿/大城譲司